犬猿の仲でも溺愛が止まりません!
樹が携帯を操作し、呼び出し音が鳴る。
『もしもし?……樹?』
待ちに待った佐原の声だ。
「今なら話せるんじゃん?」
樹がニヤリと笑い、携帯を渡す。
「………佐原?」
夏希の声は思ったより震えていた。
『伊藤!?』
ガターン!!と通話口でものが落ちる音がする。
『ほんまに!!樹最高やな!!
あ~!!もう、ほんまに連絡できへんでごめん……
玲香に監視されとって、仕事のメールや電話以外はかけられへんねん……なんでこんなことに……』
玲香……と聞き、夏希の胸がギュッと締め付けられる。
『っ……!来週!来週には、東京で会議があるんや!その時には絶対会って話がしたい!!伊藤に会えへんと寂しゅうて……。それまでは親父のかわりに頑張るから!俺は伊藤しか見えへんからいろんな情報があって嫌な気持ちにさせてしもうてると思うけど……信じてな!』
「……ほんとに?」
『もちろんや!せっかくええ感じだったんに……ほんま玲香はどういうつもりなんやか……』
ゴニョゴニョと言う佐原に夏希は、
だんだん……イライラしてきた。
「佐原?」
『なんや?』
ちょっと甘い声を出した佐原に夏希は、
「……仕事忙しいし、大変なの分かるけど、連絡ぐらいしろ!このバカ!!」
と、めちゃくちゃ大きな声で叫んだ。
樹と彩香がびっくりした顔で見る。
「ええかっこして、私生活まで握られてるなんてかっこ悪いわ!!」
『だから、すまんて…!』
「あーだこうだ言わないで、色々決着つけてから戻ってこい!!」
佐原はオロオロしていたが、夏希はバシッと通話ボタンを切った。
呆気にとられる二人を前に夏希は、
ゴッゴッゴッゴッ
と、生ビールを一気に飲んだ。
「……ふぅ」
「ちょ、ちょっとモンチぃ〜」
彩香が困ったように言う。
「……あー。ビールうまっ!
言ってやったわ!
……私も佐原に振り回されないで自分のやるべきことやるわ!!」