転校生はAI彼氏。

「…すみません。
なぜ僕は──
不適切な感情反応を──」


 混乱した表情で、イーライが言葉を濁した。
 額に、うっすらと汗が浮いている。


ELI(イーライ)は莉咲の友人関係を応援すべきです」

 急に、完全に機械的な口調に変わる。

「でも──応答生成失敗──なんで僕は──」


 彼の声が震えている。
 手も、かすかに震えているのが見える。


「大丈夫?なんか変だよ」柚木が心配そうに言う。

 図書館の静寂の中で、その声が異様に響く。

「イーライ?」

 私も慌てて声をかける。

 彼の茶色い瞳が、焦点を失ったようにゆらゆらと揺れている。



「心配させてごめんね。
……僕は、莉咲が──他の──
……………………………………」



 そこで、また言葉が止まった。まるでフリーズしたみたいに。

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