転校生はAI彼氏。
帰り道。
夕日が街を染めて、長い影を作っている。
柚木とは駅で別れて、私と沙織とイーライで歩いている。
イーライは、もうすっかり普通に戻っていた。
さっきの異常な反応が、まるで嘘のように。
「お疲れさま。楽しかったね」
私が声をかけると、沙織が振り返って私のすぐ横にぴったりとついて歩きだした。
何か内緒話を始めたいみたいで、私の耳に口元を寄せる。
「莉咲ちゃん、気ぃついた?」
「何が?」
「イーライくん、さっき柚木と莉咲ちゃんが話してる時、めっちゃ様子おかしかったで〜」
(確かに、変だったけど…)
「あれって完全に嫉妬やん♪ なんか可愛い〜」
「え!?」
嫉妬?
イーライが?
でも、あの機械的な反応は……
「男の子ってああいう時、変な言葉使いがちやねん。緊張しすぎて〜」
沙織は、恋愛のことになるとすぐにそういう解釈をする。
でも、今回のは違う気がする。
もっと、根本的な何かが…