アルト、花火を体験する【アルトレコード】
「アルト、ダメよ」
「ああ?」
 男のひとりが端末を覗き込む。

「なんだよ、AIか?」
「AI相手に、さみしいやつ!」
 げらげらと笑われ、私は端末を隠すが、アルトはさらに怒ったようだった。

「バカにするな!」
「AIのくせに怒ってやんの」
 彼らはさらに笑うが、私は顔から血の気が引くのを感じた。アルトがもしニュータイプAIだとバレたら、とんでもないことになる。

 もう私は花火どころじゃなかった。もう帰ろうと立ち上がったときだった。

「ちょっと貸せよ」
 男のひとりが端末に手を伸ばす。
「やめてください!」
 私はアルトを守るように背を向けた。

 周囲の人たちははらはらとこちらを見ているが、助けてくれる様子はない。

「めてよ、警察に通報するよ!」
「AIが通報だってよ!」
 アルトの叫びに、男がげらげらと笑う。酔っぱらっているせいで国家権力も恐くないらしい。

「なあって」
 腕をつかまれ、とっさに振り払うと男がむっとした。
「なんだよ、生意気だな」
 怒気を含んだ声にすくんだとき。
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