アルト、花火を体験する【アルトレコード】
「遅れたのは悪かったよ。これを作っていたから」
 北斗さんが取り出したのは小さな機械だった。コードが伸び、その先に端子がついている。

「端末を貸してくれる?」
 言われてアルトの入った端末を差し出すと、北斗さんは端子をつないだ。

「アルト、スイッチを入れて」
「これ?」
 画面に出たスイッチマークをアルトが押す。

「なにがどうなるの?」
「花火をもっと楽しくするものだよ」
 北斗さんが答えたときだった。

 夜空に再び花火が咲き、どーん! と音が鳴り響いた。
「わ!」
 アルトが驚いて声をあげる。

 なにが起きたのかわからず、私は北斗さんを見た。
 彼はいたずらが成功した子供のように笑みを浮かべている。

 どーん! どーん! ぱらぱらぱら……。
 音が響くたび、アルトは呆然と花火を見つめている。

「アルト、どうしたの?」
「これ……これが、先生の言ってた振動なんだね」
 アルトの声は感動したように震えている。

「もしかして」
 北斗さんを見ると、彼は満足そうに微笑んでいる。
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