本屋のポチ
クレジットカードで精算し、社員割引で1割引いてもらった。ポチは、大量の本をガサガサと茶色の紙袋に入れようとしている。カバーはことわった。時間かかるし。
あわてているのはわかるけれど、そのサイズの袋に全部は入らないんじゃないのか。眼鏡で表情はわからないが、かなりあせっているのだろう。綺麗な手がプルプル震えている。ところてんみたいに。
案の定、ポチは紙袋を取り替えた。私は可笑しくて可笑しくて仕方ない。もうお腹よじれそう。
「こちらから失礼いたします」
そう言ってポチはレジから出て、私に茶色の紙の手提げ袋を差し出してきた。両手できちんと。お辞儀もていねいだ。
きっと育ちが良いのだろう。保護者のしつけも。先輩たちの教育も。
「ありがとうございました」
「ありがとうございます。これからもがんばってくださいね」
私がそうねぎらいの声をかけると、彼ははっとしたような顔になり、それから、
「ありがとうございます!」
そう言って頬を真っ赤にしてはにかむように笑った。
(かわいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!)
これだからやめられないんだよ。現場視察は。有能だったり、将来が楽しみな新人さんたちに出会えるし、
ぜひ入社してほしいアルバイトさんたちにも会えるし、ベテランさんたちの手さばきも見られる。本にカバーをかけるのは技術と鍛錬が必要だ。私も習得するまでにどれだけ苦労したか。家でちらしのカバーを作り、何度も何度も練習した。なつかしいな。
あわてているのはわかるけれど、そのサイズの袋に全部は入らないんじゃないのか。眼鏡で表情はわからないが、かなりあせっているのだろう。綺麗な手がプルプル震えている。ところてんみたいに。
案の定、ポチは紙袋を取り替えた。私は可笑しくて可笑しくて仕方ない。もうお腹よじれそう。
「こちらから失礼いたします」
そう言ってポチはレジから出て、私に茶色の紙の手提げ袋を差し出してきた。両手できちんと。お辞儀もていねいだ。
きっと育ちが良いのだろう。保護者のしつけも。先輩たちの教育も。
「ありがとうございました」
「ありがとうございます。これからもがんばってくださいね」
私がそうねぎらいの声をかけると、彼ははっとしたような顔になり、それから、
「ありがとうございます!」
そう言って頬を真っ赤にしてはにかむように笑った。
(かわいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!)
これだからやめられないんだよ。現場視察は。有能だったり、将来が楽しみな新人さんたちに出会えるし、
ぜひ入社してほしいアルバイトさんたちにも会えるし、ベテランさんたちの手さばきも見られる。本にカバーをかけるのは技術と鍛錬が必要だ。私も習得するまでにどれだけ苦労したか。家でちらしのカバーを作り、何度も何度も練習した。なつかしいな。