溺愛の業火

(アンケ)駆け引き:side清水

(アンケ)駆け引き:side清水


「気持ち悪い。リア充、滅びろ。」

松沢の声なんて聞こえない。
口元が緩んで、自分ではどうにもならない程の幸せ。

「ふふ。くすくすくす。なぁ、松沢。俺の彼女が可愛い。」

「うげぇ。惚気やがった。」

いつもは絡んでくるのに、俺を押し退けようとして話を聞こうとしない。
松沢は本命と、上手くいっていないのかな。

「くくっ。俺には助言する癖に。」

不味い。
意地悪な事を言ってしまった自覚。

松沢のテンションは不機嫌から、どん底に落ちた。

「ごめん、悪かった。もう惚気たりしない。」

何度か逃した、謝るタイミング。
今日は間に合ったみたいで安心する。

テンションは少しだけ浮上したのか、俺の方に向けて苦笑。

「へへ。お前を幸せから突き落してやるよ。」

あ。
これ、ダメなやつだ。

松沢は不気味な笑いを残して、俺に背を向けて去って行く。
向かった先が松沢の席だから、追いかけるのはやめたけど。

授業中、幸せの絶頂から不安に追いやられた感覚。
次の休み時間から、無口な松沢のご機嫌をとろうとしたけど成果はなかった。


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