溺愛の業火

放課後。

奴が動く。
和叶に近づき、俺には聞こえない短い言葉を告げた。

止めようと近づいた時には、終わった後。

和叶の俺に対する視線は冷たく、素っ気ない態度。
明らかな距離。

何を言えば、こうなるんだ?
松沢は俺を流し目で見る程度。

「俺、用事があるから。今日の作業はないし、気を付けて帰れよ。」

松沢の突き放したような冷たい視線と声に、和叶も戸惑いを見せる。

「彼、どうしたの。何かあったんでしょ?」

胸にはスッキリしない重み。

俺に距離を置きながら、松沢の心配とか。
今回は原因が自分にあるとはいえ、面白くない。

嫉妬より黒い感情が渦巻く。

「ねぇ。和叶は、あいつの本命が誰なのか知っているのかな?」

和叶は俺に対して、様子を探るような眼。
観察力に募るのは苛立ち。

俺の知らない松沢の本命。
知っているんだよね。俺には言えないと、思っているんだろうけど。


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