溺愛の業火

(アンケ)嫉妬:side和叶

(アンケ)嫉妬:side和叶


『清水が君との関係を現状で満足しているんだから、篠崎は我慢しなきゃね。』

松沢くんが囁いた一言。

そうだよね、両想いが終点ではない。
日々変化する接し方。

現状の幸せな事に満足できず、相手から受ける愛情を更に求め、貪欲なほどに願いは次々に生じていく。
すれ違う感情の差。

「あいつが何を言ったのか気になる。」

言える訳がない。

現状で、私を大切に大事にしてくれるのに。
愛情が足りないなんて。

「俺は二の次?」

そうよ。自分の感情を優先させている。
いつも私の考えはあなたを悲しくさせて。あなたに私は相応しくない。

松沢くんの言葉は、八つ当たりなんだと理解しているつもり。

でも私たちを見守ってくれているからこそ、本当の事。
揺るがない真実。

「悔しい。」

彼の一言に思考は一時停止。
彼の表情から読み取れるのは、悔しさとは違う感情。

「一颯くん、教室から出たい。生徒会の作業もないんだよね。一緒に帰ろう。」

自分に向けられた視線は突き刺さる様に真っ直ぐで、私の言葉が届いているのか不安になる。


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