溺愛の業火

「君は俺の彼女だよね?」

あぁ。何となく分かった気がする。
彼が私に求めていることが。

やはり松沢くんの言う通り。
あなたが現状で満足しているんだと思うと、少し寂しい。

「えぇ、あなたと付き合っている私は。」

言葉が続かない。
あなたの嫉妬が嬉しいのに、その愛情では足りないなんて。

生徒会室での一時も、あなたがくれたのは優しいキス。
あなたに甘えた私は『あんな事』以上を求めたつもりだった。

伝わらない。
知られるのが怖い。

「和叶、帰りに俺の家に寄ってくれるよね。」

言葉は強引で、それを私が受け止めると知っているくせに。

「嫌よ。少し距離を置きましょう。」

本心じゃない。
でも、タイミングは明らかに最悪だった。

松沢くんの態度に続いて、私まで彼を突き放してしまえば。
睨む様な視線が逸れ、自分を捕らえていた力も緩む。

「ごめんなさい!違うの。」

慌てて否定したけど。
また傷つけてしまった。

「帰ろうか。」

苦笑した彼に心が痛む。
険悪な私たちに、周りが空気を読んだのか教室には誰も残っていなかった。


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