溺愛の業火
「松沢くんの相手は、私の憶測でしかない。彼自身が隠そうとしている以上、私があなたに告げるのもどうかと思う。幻滅するよ。私が一颯くんに望む事を知れば。」
「教えて。」
「私は付き合う前にした『あんな事』以上を……望んでいる。」
恥ずかしい。
もう我慢の限界。
頭がぐちゃぐちゃだ。
吐き出してしまえば、感情は波のように押し寄せて。
涙が溢れて零れ落ちる。
「あなたには些細な事じゃないと思う。だけど。松沢くんの一言に嫉妬して、私の気持ちを疑って、気持ちを理解できれば安堵して。優しいキスで満足できるのに。……足りないなんて言えない。」
身構える私に、一颯くんは優しく微笑んだ。
頬が赤らんで、口もとも緩んでいる。
あぁ、私はどうかしているのかな。
彼の愛しさに、自分が晒した内奥の醜さも忘れてしまえるなんて。
彼が受け止めてくれたような気がする。
私の涙を拭い、顔を近づけながら目を伏せ気味にした。
優しく重ねるだけのキス。
「ね、俺の家においで。優しくしないから。」