溺愛の業火
溺愛の業火 -松沢君の恋-

相思


俺の名前は松沢 燎(まつざわ りょう)。
友達に彼女が出来て悔しいから、からかう毎日を楽しんでいる。

幸せなんだから、こんな俺の八つ当たりくらい流せばいいのに。
清水は恋の進展も考えず、彼女の思いも知らずに贅沢だよ。

ま、そんな所もお気に入りだ。
苦労すればいい。
俺の知ったことじゃない。

お前が言う様に、俺は自分の恋にも不純だから。
確かに真面目なアイツからは、軽そうに見えるだろうな。

だけど近づいて来る女の子と付き合ったことは無いんだよ、本当は。
遊びに誘われれば数人で行く。そうだよ、断らない。
裏があって相談してくる女の子にも優しくする。

でもね、恋愛感情はお断り。
優しく断るんだよ、本当の理由を隠して。

俺に好きな奴が居るなんて、誰にも知られないように。

誘いのない日は、いつも時間を適当に過ごしてから図書室へと向かう。
窓際で本を読む彼女と会うためだ。


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