溺愛の業火
「それは、別の方とお願いします。」
彼女の視線は逸れて、ノートに文字を綴っていく。
「即答とか、一応は悩んでから答えてよ。」
恥じらいは求めないから。
もう少し、話をしたい。
「うーん、却下ですね。」
棒読みだよ、愛情なんて感じられないな。
彼女の視線は逸れたままだけど、手は止まった。
「じゃぁ、間違えたらキスしようか?」
俺は身を乗り出し、反応を求めてみる。
「ふふ。全力で教えますね。スパルタですよ。」
彼女は俺に視線を向け、笑顔。
「はぁ、お前の考えていることが分かればなぁ。」
思わず本音がポロリ。
「知りたいですか?」
あれ、いつもと違って優しい雰囲気にドキドキする。
「うん。」
期待が膨らんでしまう。
「好き。なんて、言いませんよ。」
ん?
少し、彼女の頬が赤らんでいく。
「松沢くんは、私のことをどう思っているんですか?」
俺は動揺を隠せない。
言葉も詰まり気味で、思ってもいない言葉が出た。
「さぁねぇ。」
「私は、そういうところが嫌いです。」
俺は最大のチャンスを逃してしまったのかもしれない。