溺愛の業火
「ね、自信ないとか言わないで。俺が好きなのは暁乃だ。毎日、可愛いって言ってあげるよ。それなら付き合ってもいい?」
彼女は読んでいたページを開いた状態で、机の上に裏返す。
顔を上げ、俺を無言で見つめる。
「いい加減に、俺と付き合ってよ。」
「嫌です。」
即答する表情から心は読めずに苛立ちが募っていく。
大きなチャンスを逃したのが悔しい。
「スキって言わないとキスしない!」
俺は立ち上がり、暁乃を見下ろして睨む。
「問題ないわよ?」
視線を伏せ気味にして、ため息を吐く彼女。
悔しい。
自分が子供じみているのが情けなくて。足掻いても伝わらなくて。
本に伸びる手が目に入って、怒りと衝動的な行動。
彼女に詰め寄り、手を捕らえて抱き寄せる。
「やめて、触らないで。」