VS‐代償‐
苦しい……
これが、負けた私の代償。
涼の気持ちに、応える資格のない。罰。
涼から視線を逸らし、痛みの生じる胸を押さえるように身を固める。
「真歩、いい?今から5分。ふっ……ルールを変更するのは……」
え?
小さな声に、顔を上げた瞬間。身体が覆われる。
抱きしめる涼。
この間と同じように私を包む。
抱きしめる力は、この前より強い気がする。
それでも圧迫はなく、涼の香りに包まれた方が苦しいと思うなんて。
片手が、私の髪を首から流すように触れる。
【ぞくっ】
え?
涼の顔が近づき、私の肩に額をのせた。
熱い息が、服の隙間から胸元に流れ込んでくる。
「やっ。」
思わず、抵抗してしまった。
勝負も代償も。5分の束縛も忘れて。
「駄目だよ。5分は、俺のだ。俺の……そうだね、今以上に嫌えばいい。憎んでも良い。心に、俺がいるなら。それで…---」
“ごめん”
小さく、聞き取れないような声と同時。
首元に涼の口づけ。
「……はぁ……」
苦しい。
何が原因なのか理解できない。思考も鈍る……
涼の手が、お腹に滑る。
「ひゃっ!?」
やっ……嘘、ウソだ!
涼……
涙目になり、必死に腕で胸を押さえた。
「はぁ……お願い。拒絶しないで……5分。勝ったのは俺じゃないか。負けたのは、君だよ?勝負を言い出したのも……真歩……」
そう。負けた……
勝てない涼に、何をされても文句は言えない。
だけど……