VS‐代償‐

雪解け水


テスト期間が過ぎても、進学校は次のテストを目前に控える。
次から次へと同じ繰り返し。油断もなく、勉強に意識を集中させる為。

テスト後の面談。
それも恒例……

「最近、授業に集中できているか?」

先生の質問に、『はい』と答えることが出来ない。

「……在原と同じだな。何だ、喧嘩か?」

先生の視線と、ため息。
涼も、同じ?

相変わらずの成績を保ち、追いつけるような気がしない。
同じじゃない。違う……

「力、抜いても良いんじゃないか?担任として、学校側から責任を問われるだろうが。一度、順位を落として……そこから這い上がるとか。」

先生の本当に心配した表情に、笑みが漏れる。

「ふ。先生、不味いでしょう?それ……」

私の笑顔に、笑いながら。

「俺は、個人的にだぞ?成績がすべてじゃないと思っている。当然、落としたら這い上がるのが条件だ!」

涼は……こんな話を、どう思うだろうか?
私は、何から自由になりたいのか。白紙に戻すのが、どこだったのか。
降り積もった想いを、処理すべきなのか……探していた。


面談を終え、教室を出た。
涼の順番は女子の後だから、先に帰っても大丈夫。約束もしていない。
あの時間以外は、私たちは不自然なほど……いつも通り。

何も変わらない。
不安定。手探りで、居場所を求める。
この状況を覆すために、何が出来る?どうすればいい……?

「石代さん。ちょっと、良いかな?」


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