VS‐代償‐
桜花
あのキスも、涼にとっては計測しなかった5分。
私から奪った、勝利の代償……
「二人とも、不器用よねぇ~。せっかく、彼がチャンスをくれたのに。無駄にしてほしくないわ♪」
放課後、私だけの図書室に現れ。サユが机に手を置いてニヤリ。
「彼?…え?えぇえ~~!?」
叫んだ私に、サユは満足そうにニッコリ。
「図書室では、お静かに♪」
口をパクパク。
だって、そのチャンスをくれたのって……
「せ、先生なの?」
「それも、偶然だよ?だって、私の進路時には彼は別の高校だったし♪」
「そっか……」
サユの暴露に私は、あの特別な時間と、今までのすべてを話した。
語り終えた途端に抱擁と笑顔と。
「バカね。」
毎週の定期テスト。
結果に私の1位。そして、今度は一覧に涼の名前が無かった。
勝負だって言ったのは、涼……私からの解放を願ったのも。
もう駄目だ、この想いは溶けきって残らない。
あの時間も、もう二度と。
約束をしたのは、私。
私に関わらないと、誓わせた……
「暗い!さ、青春は追いかけるものよ!」
背中に、痛みの生じる平手。
「サユ、痛い……」
「ん?痛むのは、一瞬。胸の痛みは?後悔しないで……お願い。まだ間に合うと、私は信じている。あなたが信じないで、未来は無いわ。……あぁ~~グダグダ、うぜぇ!さっさと行けやぁ!!」
背中に今度は、ケリ。
……ふっ……
「サユ、これだけは言えるわ。」