VS‐代償‐
思わず、眉間にシワ。
それを指で押さえて直す。
私の言葉は、どれが正解なのか考える。
答えが見つからない。
涼が何を考えているのか分からずに、悔しい気持ちになる。
「真歩、俺たち付き合ってないの?」
ないでしょう?今日の涼は、オカシイ。
このまま続けばテストで勝てる?頭の中は、それだけだ。
「付き合いって言うのは、『好きだ』と告白されて『私も』ってなれば成立するものでしょう?私たちにあるのは、幼いころからの友人関係。種類が違うのよ。」
これだから、外国育ちは感覚が違うのよねって。
優しい子は、そんな事を思わないわ。きっと。反省!
「じゃあ、その改めて。」
何を改めるのかな?
「俺、真歩が好きだ。ずっと好きだった。小さい頃、俺が好きだと言ったら、好きだと答えてくれたよね?」
それと、これは話が違いますよ?
友達!幼馴染!お母さんの印象のため!それ以上の感覚なんて、ない。
「私に、涼への恋愛感情はないわ。幼馴染だから、一緒にいたの。どうする?」
彼の悲しそうな表情。
【チクリ】
小さな胸の痛み。
あぁ、優しい子に育ったんだ。
敵の彼を傷つけた事に、良心が痛むなんて。成長したんだ。
「友達のままでいい。一緒にいられるなら。」
胸に感じた重みを、一瞬の内に。
心に巣食った何かが喰い尽くした。
「うわぁ~可愛い――」
遠くで聞こえた、彼への言葉。