VS‐代償‐
変化
高校になっても、身近にいる涼。
相変わらず、テストでは負け続けている日々。
「ふ、こうでなくちゃ♪」
テスト結果を眺める私に、サユが後ろから抱き着いて嬉しそうに笑う。
「良いカップルじゃん。成績優秀1位の旦那。2位の彼女。くすすっ」
嫌味か!
点差は、縮まるものの追い抜いたことが無い。
無視して、ため息を吐く私。
「いつも変わらない順位。仲良しの2人に、嫉妬は少なく憧れる存在か~。もう、付き合っちゃえば?」
耳元で、ヒソヒソ面白がっているサユ。
「てか、サユ。何気に、上位にいるよね?」
「くすす。2人が、どうなるのか見たくて高校も無理したんだよ?ね、私たち同類だよね♪」
そこは、どうなんだろう?
勉強すれば、良い位置を保てるのは事実。
きっかけが無いと、良い成績ではなかっただろう。
ふむ、ライバルや目的って良いもんだね。
他の事を考えていた私は、周りなんか見ていなかった。
「私たちは、どうにもならないよ。私が嫌いなのを、サユも知っているでしょう?」
「あ……」
え?
サユの言葉に詰まったのが珍しくて、振り返る。
そこには涼。
聞かれた!
口を押え、混乱と動揺に自分が見えなくなる。
そこにいるのが我慢できなくて、サユを押し退けて走る。
『嫌われる』
頭に浮かんだのは、これだった。
自分は、彼を嫌っていたくせに。
彼の好意や、近くにいることを本当は!
自覚した想いと、心に巣食った何かの葛藤。