VS‐代償‐
謝っても許してくれないかもしれない。
でも言葉を出そうとした私に、涼は髪をかき上げ視線を逸らす。
「俺の気持ちを知って、そんなことが言えるんだよね?」
【ズキン】
響くような痛み。
私も涼を見ることが出来ず、視線を落とす。
「勝負だよね?そっか。じゃぁ、俺が勝ったら。5分だけ。君に触れても良い?」
涼の言葉が信じられなくて、顔を上げる。
「それは!!」
涼も私に視線を戻し、見たことのない冷たい笑顔。
言葉を失う。
駄目だ。勝つつもりで、いつも負けている私。
それに、触れられたら?
「何?俺に、勝つ気でしょ?敗者には、それだけの代償が伴う。勝負を止める?俺は、どっちでもいいよ。」
表情だけじゃなく、言葉も冷たいように感じる。
彼の心は、私への想いが無くなって復讐をしたいのかもしれない。
当然だよね。
「涼……私が勝ったら、本当に近づかない?」
「誓うよ。真歩に嫌われているなんて、俺――」
消えるような声で、聞き取れなかった。
聞き返すことも出来なかった。怖くて。
彼に勝てば、何かが違うような気がする。変われるんだと。
逃げたい。今までに味わった、涼への苦しみとは違う痛み。
理解できない感情に、身体が反応する。
私の意思と反して……