クズ彼氏の甘く危険な呪縛
翌朝、身体を引きずるようにして登校した。
頭がぼうっとしていて、目の奥が痛む。
眠ったはずなのに、体力が全く戻っていない。

スマホには手を伸ばしたけれど、画面を見ることなく、そのまま鞄に放り込んだ。

いつもより遅れて教室に滑り込むと、教室の空気が一瞬ざわめき、すぐに遠ざかっていった。

普段なら、レオくんからの通知で鳴るはずのスマホも、今日は沈黙したまま。
すこしの安堵と、不安。――それが、かえって落ち着かなかった。
周囲の雑音も、クラスメイトの話し声も、今日はどこか遠く感じる。
今日は、なんだか怖いくらい静かだった。

放課後。
ようやく鞄からスマホを取り出すと、何かが、おかしい。

画面が真っ暗だった。


「……え?」


ボタンを押す。もう一度押す。長押しもしてみる。

つかない。


「あれ……うそ……?」


充電が切れてる。完全に落ちている。
さっきまでの鈍い疲れが、一瞬で吹き飛んだ。


「……ぁ、あ」


背筋が、氷を流し込まれたように冷たくなる。

周囲から、視線を感じる。
でも、気にしてる余裕なんてなかった。

もし……レオくんからメッセージが来ていたら?着信が入っていたら?
私が、無視した、と思われていたら。
そう思った瞬間――


「ヨリ」

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