クズ彼氏の甘く危険な呪縛
「寝不足とストレスだってよ」


――バレてる。

顔から血の気が引いていく。背中に冷たい汗が伝う。


「……俺のせい?」


ぽつり、と。思いがけないほど静かな声だった。
責めるようでもなく、怒るようでもなく――ただ、確認するみたいに。

その声が妙に心に刺さる。

……レオくんのせい、なのかな……。

確かに。レオくんと一緒にいるとぐちゃぐちゃに心が踏み握られるときがある。呼吸だってうまくできなくなる。眠れなくなる夜も増えた。

でも、でも――今回倒れたのが、レオくんのせいなのかと聞かれたら。

違う……と思う。
私が、弱いから……。

嫌われるのが怖い。離れて行かれるのが怖い。愛されなくなるのが、怖い。
怖いものがたくさんある、私が悪い。

だから。


「……ちがうよ」


絞り出すように、吐いた。


「私が……弱いから」


本当のことなんて、もう自分でもわからない。ただ、謝ることしかできない。


「ごめんね、レオくん」


なにに対する謝罪かもわからない。心配かけてごめんなのか、怒らせてごめんなのか、それとも――。

また沈黙が降りた。
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