クズ彼氏の甘く危険な呪縛
空き教室のドアは半開きになっていて、中からはかすかなうめき声が聞こえる。


「え……?」


躊躇して足を止めた。
でも、男子に背中を押されて、そのまま教室の中に足を踏み入れてしまった。

中はまるで惨状だった。

床に、誰かが倒れている。


「あ……」


ボロボロにされたその顔の中に、見覚えがある男子がいた。レオくんの、取り巻き──のはずだった。
どうして、彼らが?


そして──


「……っ!」


レオくんが、ひとりの男子の胸ぐらを掴み、何度も、何度も拳を振り下ろしていた。
殴るたびに、にちゃ、と肌がぶつかり血が飛び散る。


「は……っ……はっ……」


息を荒くしている。
手は血まみれで、足元に落ちたスマホの画面は割れていた。
目は焦点が合ってなくて、狂ったように相手を殴り続けていた。

恐怖で足がすくんだはずなのに。
それでも、口をついて出たのは


「……レオ、くん……?」


思わず名前を呼んだ声が、空き教室に響いた。

レオくんの動きが、止まる。

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