クズ彼氏の甘く危険な呪縛
泣き顔も、怯えた顔も、不安も、全部――俺だけのもん。

傷つけても、ちゃんと俺に縋ってくる。
逃げようとしない。必死で、俺にしがみついて。

「愛してる」って言えば、安心して笑うんだ。

俺がいなきゃ生きていけない、可哀想で、最高にカワイイ、ヨリ。
こんなもん、他に誰が手に入れられる。

――ヨリは、俺だけの“所有物”。
誰にもやらねぇ。壊すわけもねぇ。


女の声が耳元で聞こえる。


「……また会える?」


もう俺はその声に興味がなかった。
脱ぎ散らかした、衣服を手に取る。


「さぁ?気が向いたら?」

「なに、それ。ひどくない?」


俺は振り返らず、つまらなさそうにぼそっと言う。


「でも、会えなくなったら泣く?」

「え?」

「冗談。じゃ、そろそろ帰るわ。めんどくせぇ」


立ち上がりながら。俺は最後にもう一度スマホの画面を見た。
そこには、無防備な耳に、俺が開けたピアスが鈍く光っていた。

あいつ、今日も俺の帰り待ってんのかな。
ほんっと健気で泣けるよな。

ああ、帰るのが楽しみだ。
俺は毒のような優越感に浸りながら、ゆっくり部屋を出ていった。
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