クズ彼氏の甘く危険な呪縛
いつの間にか泣いていて、気づいたら声が震えていた。
これが正解か、わからなくて不安が胃を蝕む。

静寂が緊張させた。


「正解。……よく言えたな、ヨリ。偉いじゃん」


まるで幼子を褒めるみたいに、ゆっくりと笑うレオがパッと手を離し、私は重力に逆らうこともできず床に倒れ込んだ。
なんてことのないように、膝の上に横抱きで乗せられ、頬に口づけられる。


「無視されたら、俺悲しいじゃん」

「ご、ごめんなさい、ごめんなさい……っ」


壊れた玩具のように繰り返す私の唇を、レオの指がぞくりとするほどの優しさでなぞる。
さっきまで無機質だった瞳が、今は仄かな熱を帯びていた。
そのまま覆いかぶさるように抱きしめられるけど、力の入らない腕は上がらなかった。


「今日会った女、香水くせえわ、うぜえわでさ。ちょっと機嫌悪くなった。


「許して?」と顔全体にキスを降らせ、声に甘さを滲ませる彼は、本当にさっきと同じ人なのだろうか?
私は未だに恐怖で動けず、レオに向けられるそれが“愛”なのか“支配”なのか、もう私には判別できなかった。

……ただ、抗うことはできずに、されるままだった。
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