クズ彼氏の甘く危険な呪縛
……ああ。
こんな愛が、どこかに本当にあるのなら。
私たちを結びつけているコレはなんなのだろう?
目の奥が、熱くなる。
でも泣きたくなかった。
今だけは、笑っていたかった。
「……幸せだね」
夢の中の私がそう言うと、レオも「だな」と言って、目を細めた。
たったそれだけのことが、酷く、残酷だった。
――遠くで、誰かが私を呼んだ気がした。まぶたが、ゆっくりと開く。
ぼんやりとした天井。
視界が定まらないまま、隣で寝息が乱れているのに気付いた。
レオがは、うなされていた。
眉間にしわを寄せ、苦しげに何かを呟いている。
私が見たあの夢を、レオも見ていたのかもしれない。
あの夢は、きっと見てはいけないものだった。
私は、そっとレオの髪に触れた。
子供をあやすように、優しく、何度も撫でる。
その額に浮かんだ汗も、髪の柔らかさが一緒だったあの子も。
今は全部、忘れてしまえたらいいのに。
――きっと、今日はレオの機嫌が悪い。
それは確信にも似た予感。
どうしてだろう、すぐにわかってしまった。
ねえ、レオ。
私たちの愛って……ねえ、あれって、本当に“愛”って呼べるのかな。