クズ彼氏の甘く危険な呪縛

レオがここまで感情をあらわにするのは初めてかもしれない。
肩を震わせた女の子が、急いで荷物を持って出ていくのを、他人事のように見ていた。

焦点の合わないまま、レオの視線とぶつかる。
……睨まれていた。怒っているはずなのに、どこか怯えた目だった。


「お前、なに、なんだよ」


いつものレオらしくないうろたえた口調。


「なんで、俺を……どうして」


どうして……?どうして、なんてそんなの……。


「わ、私のこと、愛してるって言った、のに」


考えるより先に言葉が零れた。
いつもなら絶対にこんな口答えみたいなこと、言えないのに。


「は……?当たり前だろ」


その顔、いやだ。私の言っていることわからないって。
そんな顔、しないでよ。


「今の子にも……言ってたっ」


ああ、もう止まらない。


「嘘つき、嘘つき嘘つき嘘つき!私だけって、言って、くれたから……全部我慢できたのに……っ」


止められない。


「怖いのも、痛いのも、悲しいのも……"愛してるも"!もう全部いや……!!いらない!!……き、きらい。レオなんて嫌い……!私だって、私だってひとりで生きていける……!レオなんていらな……いっ!?」

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