クズ彼氏の甘く危険な呪縛

突然腕を痛いくらいに掴まれて壁に押し付けられる。
冷たい壁の感触よりも、レオの手の力強さに息が詰まった。


「……黙れよ。それでも逃げなかったのはお前だろ……っ」


レオが苦しそうに吐き捨てた。


「他がなんだよ!お前だって俺じゃなくて、俺の言葉を愛してたんだろうが!」


目の前の顔が近い。
だけど、その目は怒っているのに悲しそうで、泣きそうにも見えた。
胸が苦しい。そのまま見ていたら、また、許したくなってしまう。


「やめて……っやだ!離して!」


無我夢中で手を振り払おうとするけど、レオは逃がしてはくれない。
それどころか、さっきよりも力が強められる。
ミシミシと掴まれた腕から嫌な音がする。

痛い
痛い
痛い

でも、それよりも今は心のほうが痛い。
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