クズ彼氏の甘く危険な呪縛

「……え」


終わったの……?
私の一言で、こんなに呆気なく終わってしまうの?

もっと早く言えばよかった。

あんなこと言うつもりじゃなかった。

矛盾が頭の中で糸のように絡まる。

私は、どうしたかったの……?
なんで、こんなことになっちゃったんだろう。

ぼんやりと腕を見ると赤黒い痣が残っていた。
無意識にピアスを触った指が、微かに震えているのがわかった。

『ヨリは、俺の”モノ”だもんな』って、嬉しかったくせに。

……でも別れたなら……外さなきゃ。


「……もう、レオの”モノ”じゃない、よ」


そう言ったくせに、何度触れても、耳は熱いままだった。
いったい、私はどこまで馬鹿なんだろう。

自分からレオを拒絶したのに、もう後悔してる。
レオから解放されたことが、不安で仕方ない。

ひとりで生きていける気がしない。
やっと自由になれたのに、空っぽな気分。

嬉しいのか、悲しいのか、後悔なのか、救いなのか――
何一つ選べないまま、私はただ、レオのいなくなった扉を見つめていた。
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