月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
いつしか、ジャラールさんが語っていた事を思い出した。

「どうしよう……」

早く泊まる場所を確保して、火を炊かないと、凍えるような寒さになる。

火を炊かないと、動物が近づいてくる。

恐怖で、涙がこぼれてきた。

こんな時に、ジャラールさんがいてくれたら!


すると、遠くから駱駝に乗って、近づいてくる人達がいた。

「助かった……」

私は駱駝を走らせ、その人達に近づいていった。

「助けて下さい!」

だけどその人達は、立ち止まったまま、動かない。

「怪しい者ではありません。一泊だけでも宿を貸してほしいのです。」

祈る思いで、その人達に訴えたけれど、様子がおかしい。

もしかして、言う相手を間違えた?

相手は男性二人。

女一人、宿を貸してほしいと言っても、逆に襲われるかもしれない。

ああ、しくじった!

ここは思いきって、逃げた方がいいかも。

私は、目をつぶりながら、駱駝を右方向に走らせた。

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