月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
とにかく、追っ手の届かない場所へ。

必死に手綱を掴み、体を前屈みにして、私はできるだけ遠くに逃げた。

しばらくは、追っ手の駱駝を走らせる音も聞こえたが、陽が傾きかけた頃、何も聞こえなくなった。

そして駱駝が、どんどん走る事を止めていく。

星が見えてきた頃、とうとう駱駝は、止まってしまった。

震える体を起こして、辺りを見回す。

360度。

砂だらけ。

加えて、太陽が低い位置にあって、暗くなりかけている。

「どうしよう……泊まる場所を探さないと……」

仕方なく駱駝を歩かせ、なんとか泊まる場所を探す。

贅沢を言えば、遺跡みたいな場所。

そうでなくても、岩場。

最悪、大きな石があればいい。

でも、歩いても歩いても、そんな岩場らしい所は見えてこなかった。


『夜の砂漠は恐ろしい。気温は日中とはうって変わって、凍えるような寒さになる。蠍等も活動し始め、一気に死への恐怖さえ感じるようになる。』

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