月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
その時、グーッとお腹の音が鳴った。

「寝る前に、ご飯の時間みたいね。」

母親は、私の体を叩いた。

「起きてきなさい。腹が減っては戦はできぬってやつよ。」


しばらく経っても寝付けない私は、とうとうベッドから這い出し、部屋を出てリビングに向かった。

テーブルには夕食が並べられ、父親と弟が、今まさにそれを食べ始めようとしていた。

「紅葉?起きたのか?」

父親はビールを持ちながら、驚いている。

「ご飯が並んだ瞬間起きてくるなんて、姉ちゃんらしい。」

「うるっさい。」

弟の背中を押して、自分の席につく。

「いただきます。」

なぜか私は、お腹がものすごく空いていたらしく、並んでいた食事を、次から次へと口の中に放り込んだ。

「すごいわね。」

「腹が減っては戦はできぬでしょ。」

今さっき母親に言われた事を繰り返す。

「戦か……」

父親がビールを飲み干す。

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