月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ん?」

父親はなぜか、しんみりしている。

「まさか姉ちゃんが、救世主になるとはね。」

弟も、ご飯茶碗を持ちながら、ため息をついている。

「もしかして……お母さん、話した?」

そこへ母親が、舌を出しながらやってきた。

「隠そうとしたのよ。約束は約束だから。でもね、何て言うか、我が娘が夢の中で会った王子様を追って、タイムスリップって、面白い話じゃない?だから、つい、その……」

「口が滑ったのね。」

まあ、ある程度予想はしていたけれど。


「だけどな。まずはその王子様に会えたのか?」

「まずはそこが大事だよね。」

予想外なのは、父親も弟も、驚くくらいにその話を受け入れている事だ。

「まあ、会えたは会えた。」

「そうか。第一段階、突破だな。」

そして、3人で喜んでいる。

呑気というか、さすが私の家族だよ。


「ごちそうさまでした。」

夕食を終えて、私はすぐ立ち上がった。

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