月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「はあ~生き返る~。」

お風呂に肩まで浸かったせいか、目の前がボーッとしてくる。

お風呂の湯気で、徐々に周りが雲ってくる。


しばらくして、その湯気の向こうに、人影が見えた。

もしかして弟が、またやって来たのか?

「ちょっと、人が入っているのに、なに自分も入ろうとしてんの?」

するとその人影は、こっちを向いた瞬間、慌てて背中を見せた。

「すまん。悪気はなかったんだ。」

ん?

待って。

この声は……

「まさかクレハが入っているとは露知らず。許してくれ。」

そう言って長い髪を一つに編んでいる男性が、一人で立っている。

「ジャ、ジャ、ジャラールさん!?」

ハッと気がつくと、私は一糸纏わぬ姿で、池の中に入っている。

「わわわわっ!」

近くに何か隠す物がないか探すけれど、何もなく。

ただ水面をジャブジャブと、掻き分けるだけの私。

「これを使ってくれ。」

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