月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「厳重に管理されてるんでしょ?もうその人しか、疑いようないよね。」

「もう!光清もときわも!ラナーに会った事がないから、そんな事言えるんだよ‼」

ラナーは会ったばかりの私に、自分の勝負服を借してくれた。

もし逆の立場だったら、私は絶対貸さない。


「そうかもな。相手を知らないからこそ、冷静に見れるのかもな。」

「私も光清と同じ。で?そのラナーちゃん、どうなったの?」

その時の事を思い出して、胸が苦しくなる。

「ラナーは、裁判にかけられてさ。」

「裁判!?」

二人とも、身を乗り出して驚く。

「砂漠の国に、裁判なんてあったんだ。あっ、それは私の偏見?」

「いや、俺もそう思ってた。てっきり王様が全部決めるんだって。」

それを聞いて、私は口を尖らせた。

「どうしたの?紅葉。」

どうしたもこうしたもない。

分かりやすく説明したつもりが、二人には違う意味に伝わる。

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