月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「もう。光清もときわも、砂漠の国を誤解してるよ。」

行った事もないのに、勝手な思い込みで、砂漠の国を語るなんて。

「だって、分かんないんだもん。」

ときわが、テーブルの上に倒れこむ。

「だよな。たまに、テレビで見る中での印象しかないよな。」

光清も両腕を頭の後ろに回し、椅子にもたれかかった。


「じゃあ、私が教えてあげる。」

「紅葉が!?」

ときわが顔をしかめる。

「私は実際、砂漠の国に行ってきたんだよ?」

「ああ……」

今一納得していないときわを他所に、光清はうんうんと頷いてくれる。


「で?ラナーちゃんは、どうなったの?紅葉。」

「うん。ラナーは罪を認めたの。自分がやったんだって。ラナーの主人であるネシャートさんが、何かの間違いだって訴えても。」

あの時のラナーは、今思い出してもかっこいい。

毅然としていて、媚びるような印象は一つもなかった。

「じゃあ、そのまま罪人になって終わり?」

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