月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ったく。

人の気も知らないで、呑気にやってるよ。

服を洗った水を見ていると、意外と黒く濁っているのが分かる。

「どれだけ汚いわけ?」

水からあげて服を絞る。

結構な力がいる。

2~3回、固く絞っている時だ。


「結構汚れているだろう。」

ジャラールさんが、いつの間にか側にいた。

「一度砂漠の旅に出ると、数日は同じ服を着るし、身体も洗えない。こうして小さなオアシスを見つけては、水浴びをし服を洗う。この時が密かな楽しみだ。」

そしてジャラールさんは、私から服を取ると強く絞ってくれた。

「そう、なんですね。」

ジャラールさんは髪も洗ったのか、編んだ長い髪がほどかれ、びっしょりと濡れている。

「その髪、乾くまでそのまま何ですか?」

気になって質問してみた。

「はははっ!普段は宮殿の侍女が乾かしてくれるんだけどね。」

「じ、侍女が?」

綺麗なお姉さん達に、大きな羽でバサバサと、風を送ってもらうジャラールさんが思い浮かぶ。

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