月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「でも今はその侍女もいないから、自然乾燥かな。砂漠だからね。すぐ乾くよ。」

顔立ちが端正な上に、髪が長いから女性と見間違える程美しい。

これが“王子様”というヤツなんだな。


私がそんな事を考えている間に、ジャラールさんはハーキムさんの服も絞り、池のすぐ側にある木の枝に、服を広げて干した。

「ところでクレハは、なぜ砂漠に来た?」

「えっ……」

「女一人で来る場所ではないだろうに。」


そして私は思い出す。

この世界に来た本当の理由を。


「ジャラールさん。」

「ん?」

私はジャラールさんの腕を掴んだ。

「ごめんなさい。今まで言わなくて。」

「クレハ?」

「ああ、なんて私はバカなんだろう。どうして会ってすぐ言わなかったのかしら。」

するとジャラールさんは、私の手を離すと今度は、私の背中をそっと撫でてくれた。

「大丈夫だ、クレハ。何があった?」

「ジャラールさん……」

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