月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「お待ちください、ジャラール様!」

ハーキムさんは、駱駝に乗ったジャラールさんを止めた。

「こんな夜更けに動いてはなりません!」

「しかし!」

「夜の砂漠がどれだけ危険か、ジャラール様は分かっておられるはず!」

それを聞いてジャラールさんは、駱駝を止めた。

「夜が明ければすぐ動けるようになります!今夜だけはどうか我慢してください!」

ハーキムさんの言葉に、ジャラールさんは駱駝を降りた。

「分かった。ハーキムの言葉に従おう。」

そしてジャラールさんは、ハーキムさんが作った寝床に移動した。


「ジャラールさん、」

私が話しかけると、ジャラールさんは無言で通りすぎた。

そうだよね。

私がもっと早く話していれば、なんとかなったかもしれないよね。

なんで私、こんな深夜になるまで話さなかったんだろう。

ジャラールさんに冷たくされ、私は涙が溢れてきた。

「……っ!ック!」

< 117 / 354 >

この作品をシェア

pagetop