月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ジャラールさんに呼ばれ、ハーキムさんはゆっくり火の元へ来た。

「クレハ。先に休むといい。俺はハーキムと少し飲んでから寝る。」

「ジャラール様?」

なんだかハーキムさん、ジャラールさんと一緒に飲む事が嬉しそうじゃないみたい。

うちの父親と母親は、しょっちゅう一緒に飲んでるけどな。

お酒を飲むって、そんなに楽しいのかなって、思ってしまうくらい、二人で飲んでる。

でも未成年の私には、何も言えずとりあえず返事をして、指定された場所に、横になった。


相変わらずの満天の星空。

隣に好きな人がいて、文句なしの状況。

そう。

この重苦しい空気さえ、流れていなければ。


「ハーキム。杯を取れ。」

ジャラールさんに言われても、ハーキムさんは身動きしない。

「俺とは飲めないか?昔は、一緒に飲んでたじゃないか。」

「昔とは状況が違います。大体、どこからお酒を持って来たんですか?」

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