月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「宮殿からこっそり。あの国は、周囲の国からいろんなお酒が集まってくる。毎日飽きないよ。」

するとジャラールさんは、杯にお酒を入れて、ハーキムさんに渡した。

「この旅に出る時、ハーキムと一緒に飲もうと思って持って来たんだ。」

「ジャラール様……」

「まさか途中でクレハに会って、ザーヒルの反乱を聞くとは思っていなかったがな。」

そしてジャラールさんは、クククッと笑い出す。

「思った以上に、落ち着いてますね。」

「お酒を飲んでいるからさ。そうでなければ、今すぐにでも、この砂漠を駆け抜けて援軍を頼みたいぐらいだ。」

それを聞いて、ハーキムさんはやっと、杯に入っているお酒を飲み干す。

そしてジャラールさんも、釣られるようにお酒を飲み始めた。


「クレハはもう寝たかな……」

ジャラールさんにちょっと覗かれた気がして、私は目を瞑って寝ている振りをした。

「ハーキム。クレハは、お前にはやらないよ。」

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