月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ハーキムは、気になる女がいると、途端に口が悪くなる。その癖、ふとした時に優しくする。」

「はあ。」


口が悪い。

ふとした時に優しくなる。


『よくその身体で、ジャラール様を誘惑しようとしたな。』

『気にするな。ジャラール様と一緒に水浴びをするついでだ。』

思い当たる節があるだけに、何も言えなくなる。

私はハーキムさんに借りた薄い毛布を、ぎゅっと握った。

「クレハの事、気に入ってるんだろう。」

薄目を開けて、私はハーキムさんを見た。

杯をグイッと飲み干す。

「……はい。気に入っています。」

驚いて薄目どころか、大きく目を見開く。

「最初はジャラール様に色目を使うなど、身の程を知らぬ女だと思いました。」


ぬわっ!

ハーキムさん、そんな事を‼


「しかし、クレハの明るさや、行動力のあるところ、少女らしさを見ていると、目が離せません。」

「相当気に入ってるな、ハーキム。」

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