月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ただそれだけです。」

息が止まる。

「私には既に3人の妻がおります。いずれラナーを正妻に迎えれば、4人になるでしょう。ですがジャラール様は、未だ妻を一人もお迎えにならず。ネシャート王女とご結婚されても、外に言い寄っている方もおりません。クレハの様な女性は、丁度よろしいのではないでしょうか。」

「そうか……」

火のパチパチッと言う音が、辺りに響く。

「じゃあハーキムは、クレハを諦めるんだな。」

「諦めるって……」

私の心臓は、訳も分からず、ドキドキしている。

「まあいい。後からやはり自分もと言っても、受け付けないからな。」

「はあ……」

気のない返事。

いや、私に気があっても、それはそれで困るんだけどさ。


「さあ寝るか。明日は朝早くから忙しい一日になるぞ。」

そう言ってジャラールさんは、私の側に横たわった。

薄目がバレないように、寝返りを打つ。

「では私は、その木の側で。」

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