月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
そう言ったハーキムさんは、寝返りを打った私の丁度視界に入ってきた。

目がばっちり合う。

うわ~!

何でこっちに移動してくるのよ~。

案の定、横目で見てくるハーキムさん。


『聞いてたのか、今の話。』

ハーキムさんの唇が動く。

仕方なく頷く。

『忘れろ。』

唇がそう動いた後、ハーキムさんは剣を持ちながら、木に寄りかかった。


忘れろって、忘れられるわけないじゃんか。

好きな人に、“クレハは渡さない”なんて言われたら。

ああ、思い出してまた心臓がドキドキ言ってる。


その瞬間、ハーキムさんの剣が、目の前で動いているのが見えた。

ひえっ!

驚きながらハーキムさんを見ると、またあの人の唇が動いた。

『眠れないのか?』

私は首を横に振った。

『眠れない時は、星を数えるといい。そのうち寝付く。』

そしてハーキムさんの指差す方を見た。

そこには、満天の星空。

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