月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】

砂漠の移動

「だから何も、悪気なんてなかったわよ。」

お風呂から出て、髪の毛をバスタオルで拭く。

「まさか、お風呂の中で寝ているなんて。あのままだったら、溺れて死んでいたかもしれないわよ?」

「溺れて!?」

裸のまま死ぬなんて、絶対に嫌‼

「しかし、いつもこんなに忙しく、あの世とこの世を行き来するのかい?」

父親がテレビを観ながら、話しかけてきた。

「あの世って……せめてあっちの世界とか夢の世界って言って。」

「ああ、ごめんごめん。」

父親は笑いながら謝っていたけれど、仰る通り。

修学旅行の時は、目が覚めたら次の日の朝だった。

あんなハードの夢。

危険な目に遭ったら、今までは夜中に目が覚めたって言うのに、まるでコントロールされているかのように、一番中全く起きなかった。

もしかしたら、それはオアシスの精霊の、あの緑色のペンダントの力かもしれない。

まさか!

私はバスタオルを首に巻いたまま、二階へ駆け上がった。

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