月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ふと目が覚めると、そこは駱駝の上だった。

しかも、ものすごい勢いで駆けている。

「ああ、起きたか。クレハ。」

耳元で声がして顔を上げると、そこにはジャラールさんが‼

「うわっ!」

あまりの近さに、身体がジャラールさんから、離れそうになる。

「おっと!暴れないでくれ。駱駝から落ちるぞ。」

よく見ると、私はジャラールさんの両腕の中。

少しでもずれたら、駱駝から砂漠の砂の中へまっ逆さまだ。

「できれば俺に掴まっていてくれ。できるだけ早く宮殿へ帰って、援軍を頼みたいのだ。」

「は、はい!」

ジャラールさんに掴まる。

いや、ここは遠慮している場合じゃないよ。

私はゴクンと息を飲んで、ジャラールさんの身体にしがみついた。

「ハーキム!少し急ぐぞ!」

「はい!」

後ろからハーキムさんの声がする。

辺りを見回すと、東の空から太陽が昇ったばかり。

昨晩言っていた通り、夜明けと共にあの湖を離れたんだろう。

< 128 / 354 >

この作品をシェア

pagetop