月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「あの……宮殿って、隣の国の?」

「ああ。サマド王の宮殿だ。」


『私とそなたは血は繋がっていない。お前の本当の父親はサマド王だ。』

確か王様は、そう言っていた。

ジャラールさんの本当の父親。

王様が遠くへ出掛けていた時、お母さんを連れ去って凌辱したという隣国の王。

背中がゾクッとする。

思わずジャラールさんにしがみつく腕の力が強くなる。


「怖がる必要はない。父君は、思うほど怖くはない方だ。俺を可愛がって下さる。母君の事も覚えていてくれた。」

「そう……」

しっかりしよう。

複雑な思いをしているのは、私以上にジャラールさんの方なのだから。

「もう少しで着く。」

「えっ?早い!」

そこで私は、ある事を思い出した。

サマド王は、お母さんが実家であるオアシスの近くの城に攻めたんだよね。

と言う事は、オアシスは途中にあるんじゃ……

「ジャラールさん。ずっと前にいったオアシス……」

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