月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
待つだけなんて嫌!

「クレハ……」

「ジャラールさんの側を離れたくないの!」

すると次の瞬間、私はジャラールさんの胸の中にいた。

「えっ……」

「クレハ!君って人は……」

迷いながら、私の背中に両腕を回すジャラールさんがいた。


「ジャラール王子!」

家臣が戻ってきて、ジャラールさんは私から離れた。

「サマド王が謁見をお許しになりました。」

「解った!」

ジャラールさんはハーキムさんと顔を合わせると、二人で部屋を出て行った。


それで大人しく部屋で待っている私じゃないもんね。

二人に見つからないように、後を付ける。

長い廊下の後、とてつもなく広い広場に出た。

ずっと奥には、大きな椅子に座る誰かがいる。

「サマド王。お忙しい中謁見をお許し頂いた事、有り難く存じます。」

「ああ。我が息子、ジャラール王子の申し出とあれば、いつでも時間を作ろう。」

低い声、多くの髭をたくわえている大柄の人。

< 132 / 354 >

この作品をシェア

pagetop