月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
明らかにジャラールさんに、敵意剥き出しの人だった。

「兄君……」

ジャラールさんは、確かにそうそう呟いた。

お兄さん?

もしかして、サマド王の息子?

「ジャラール王子は、ヘイダル王の息子として育った。自分の国の危機と偽り、我が国の兵を分散させ、隙を見て滅ぼすつもりでは?」

「そんな事は、考えておりません!」

ジャラールさんが大きな声を出す。

「証拠は?」

「証拠?」

「ヘイダル王が危機に瀕しているいると言う証拠を見せて頂こう。」

そのサマド王の息子かもしれない人に、証拠を求められ戸惑うジャラールさんとハーキムさん。

証拠なんてない。

だって私が伝えただけなんだから。

私?

そうだ。

私が証人になればいいんだ。


「はい!私が証拠です!」

止せばいいのに、私は二人の元に駆け寄った。

「誰だ?お前は!」

「私はオアシスの精霊の使いです!」

適当に答えたけれど、今はそう答えるしかない。

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