月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
うわっ!

ヘサーム王子も疑っている!

それを見てジャラールさんが、ゴホンと咳を一つ。

「ヘサーム王子。私の母君と婚約者であるネシャート王女の母君は、血を分けた姉妹です。お二人の故郷は、砂漠の小さな国で、その守り神がオアシスの精霊なのです。クレハはその精霊の使い。連れてゆかぬ訳には参りません。」

するとヘサーム王子は、手を一度叩くと、両手を大きく上に挙げた。

「ははは!オアシスの精霊が守っていた砂漠の小さな国!そう言えばあったあった!」

大きな声で笑った後、ヘサーム王子はニヤニヤしながらこう言った。

「父上が攻めてあっという間に滅んだ国だ。忘れていたよ。」

一瞬、ジャラールさんの顔が歪む。

「だとしたら、余計連れて行っていいのだろうか。またその国のように、ヘイダル王の国が滅んだら?精霊の使いクレハよ。そなた、また国が滅ぶのを見るのか?」

頭に来た‼

ザーヒルよりもムカつく!

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